時々彼のほうから視線を感じるような気がして、彼も私のこと意識してる?
なんて思っちゃってそしたら偶然私が落とした定期を拾ってくれちゃったりなんかして
これはもしかしてもしかしなくとも運命!?
とか思った日の夜、幼馴染に呼び出されて「俺、実はお前のこと…」とかなんとか言われながら
斜め前にスーツの彼がいることに気付いた私のテンションは最高潮で
「ちょっと用事できた!運命の人のところに行かなきゃ!」なんて幼馴染に告げてスーツの彼にご挨拶。
たまたま彼は一人できてたみたいで…これってやっぱ運命!?
その日そのままスーツの彼の家でお泊りして付き合うことになっちゃった!
毎朝ふたりで仲良く通勤してると痴漢も寄り付かなくなってラッキー
私今、最高に幸せな女かもなんて思い始めた付き合った三ヶ月記念日に
彼の部屋で大量の私の写真と私の行動が記録された手帳なんてものが見つかって
ここ3年悩まされ続けてきた痴漢とストーカーの犯人が彼だと判明。
一瞬で目が覚めた私は彼に別れを告げ彼の部屋から出ようとした途端
優しかった彼が豹変して暴力ふるってきて怖くて怖くて裸足で逃げ出して
道の角を曲がろうとしたときにぶつかった男の人が
追いかけてきた彼を追い払ってくれて、お礼をしようとして男の人の顔を見ると
まさかの中学時代に私が片思いしていた部活の先輩で
懐かしい思い出を酒の肴に話でもしようと先輩の部屋に誘われて
お酒を飲みながら思い出話に花を咲かせていると
中学時代先輩も私のことを好きだったことが発覚!
これはもしや運命ってやつ!?
と興奮した私は良かったら付き合わない?という先輩の言葉に
二つ返事でOKをだし付き合い始めたのだけど2週間目にして
先輩の彼女という人が家に押しかけてきた。なんで浮気したの!?と先輩を問いただすと
ごめん。彼女が本命なんだ、別れてくれ。と目の前にいる女の肩を抱きながらいった先輩の言葉に私はボー然。
泣きながら居酒屋で自棄酒飲んでたら会社の同僚が偶然私の隣に居合わせて
愚痴を聞いてもらった。すると同僚も今日彼女に二股されてたことがわかって自棄酒を飲みに来たらしかった。
「俺たち似た者同士だね。」なんて自嘲気味に笑う彼に母性本能がくすぐられ胸キュン!
やっとみつけた運命の人!と思って次の日から会社で猛烈アタック!
一か月経ってついに実ってそこからはバラ色の毎日!
大嫌いな会社が同僚に会える大好きな場所へと変わって
これはこのままいけば結婚とか思い始めた付き合って半年経ったとき
急に会社をくびにされてパニック!でも結婚すれば関係ないよね。
って同僚に尋ねたら「元カノがよりを戻したいっていうんだ。すまないが、別れよう。」
と言われて見事に私の人生お先真っ暗!
詳しく聞いてみたら出会った日別れたのはうちの会社の社長令嬢!
私のクビもやきもちを焼いた社長令嬢の仕業だった!?
元カノへの気持ちがずっと残っていた上に彼女と付き合って結婚できたら社長になれる!?
そんな理由を平然といってのけた同僚に私の気持ちは冷え冷え。
張り手一発くらわせて家に帰ろうとしたら途中駅の階段の一番上でつまずき転がり落ちて右足複雑骨折。
自宅で仕事探しながら療養生活。幼馴染が家事を手伝いに来てくれて
「大変でしょ?ただの幼馴染にそこまでしなくていいよ」なんて憎まれ口を叩く私に
「ばーか。幼馴染なのも何かの運命。お前は黙って俺をこき使えばいいんだよ。」
といって笑った幼馴染。
幼馴染と恋愛とかありえない!とか思ってたのに
私の頭の中で”幼馴染なのも何かの運命”って言葉が鳴り響いて離れなくなった。
それが私が運命中毒だと知る幼馴染の魂胆だったことを知るのは
私が幼馴染と結婚して3年過ぎたころなのだけど。
まぁそんな運命もありなんじゃない。と私は新しい命の宿るお腹をさすって微笑むのだった。
妄想的偽りの運命
2011.03.26.