「…入院患者、です。」
「名前は?」
「…山中由美。」
「ふーん。俺は星澤裕也。あんま夜遅くに病室でるなよ。」
あんただって人のこと言えないでしょ。というと俺はいいんだよ、特別。といって笑った。
初めて見る笑顔にとくんと鼓動が大きく鳴る。
赤いであろう自分の顔をみられたくなくて照れ隠しに
意味がわからない。何が特別だっていうんだ。と呟き頬を軽く膨らませ顔を背けた。
「膨れっ面。全然可愛くねーぞ。」
「失礼な!初対面の女の子に普通そんなこと言う?」
「ははっガキが生意気いってんじゃねーよ。」
「うるさーい!言っとくけど私17歳だからね!」
そういうと裕也は驚いたように目を真ん丸にした。
「おまっ俺より3つも年上なの・・・?」
「ちょっとそれどういう意味」
裕也をギロリと睨めつける。
身長150センチで童顔、加えて子供体型な私は他人から正しい年齢で見られることはまずない。
制服を着ているならまだしも今は病院服。裕也が間違えるのは仕方のないことにも思えるが、
「いや、てっきり12歳くらいかと思った。」
由美の怒った表情を知ってか知らずか裕也は笑いながら見事に由美のコンプレックスを直球真ん中ストレートに言い放った。
「死ね。」
怒り心頭の由美はドス黒い笑顔を裕也に向けて言い。
踵を返して病室へとダッシュした。
嫌なやつ!ちょっと顔がいいからって調子に乗って!
声なんてかけるんじゃなかった!!
自分の病室につくなりすぐさま布団をかぶった。
「死ね…か。普通病院で患者に向かってそういうこというかなー。ま、いいけど。」
と呟きながら窓の外をみる。
自分が死んだら、”彼女”は病院に来てくれるのだろうか。
死んでしまってからでは最早自分には意味のないことなのだけれど。
もう久しく会っていない”彼女”を思い浮かべ自嘲気味に笑う。
14歳という年齢に似つかわしくないような諦めのはいった笑み。
ため息をつきもう一度窓の外を睨みつける。
少し外が明るくなってきた。
少年はその光を避けるように病院の闇へと消えていった――――
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日付2011.03.27.